ハンティング

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「な、な、なにするんだお前?」  タケシがトチ狂ったような大声を上げた。 「うるさい、黙れ! 助かりたけりゃ、手伝え!」  焼け爛れたジュンの体は、予想以上に重かった。その、肉の焼けた吐き気をもよおす酷い臭いと、素手ではとても触れない状態の皮膚のため、思うように持ち上げられないせいもあったが。ここは、タケシの手助けが必要だった。 「ジュンの体を、外に放り投げるんだ。上にいる奴らが勘違いして、それをとっつかまえようとした隙に逃げ出す。それしかないよ!」  奴らの姿は、ここからは見えない。それは同時に、奴らからも俺たちが見えてないってことだ。そして、さっきのケンジのやられ方を見ても、俺達がガード下から出た瞬間を狙っている。すでに死んだ奴か、そうでないかなんて、その瞬間はわかりゃしない。わかりっこない! アキラは無理にでもそう思い込もうとしていた。それ以外に活路は見出せない気がした。 「ほら、お前は逆の方を持て! 持ち上げるんだよ!」
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