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がふんっ!!
ケンジが外へ出ようとした瞬間、何かによってその動きは遮られた。明らかにガードの外からのものによるその反動で、一瞬ケンジの体は反り返り。そして次に、ケンジの体はするすると、ガードの上に向かって登り始めていた。
「くそう、痛え、くそう!」
もがき苦しむケンジを見て、アキラは何が起きたのかやっと理解した。何か、大きな鉤のようなものが、ケンジの胸元にブスリと突き刺さり。そしてその鉤についた太い鎖によって、ケンジはガードの上にギリギリと引き上げられようとしていたのだ。
「ちきしょう、放せ、ちきしょう!」
未だ火のついた足を宙に浮かせ、バタバタと喘ぎながら、ケンジの体はガードの上へと消えていった。アキラとタケシは、それをただ呆然と見送っていた。そして。ガードの上から、「ちくしょう、てめぇら!」と叫ぶケンジの声が聞こえたかと思うと。その声は次の瞬間、「やめろ、やめろぉぉぉぉ!」という悲鳴に変わっていた。しかしその叫び声も、長くは続かず。やがてすぐに、辺りはしーんと気味悪いほどに静まり返った。
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