ハンティング

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 一体、何が起きたのか。パニックに陥る余裕もないほどニ人の頭は混乱しきっていた。が、タケシがはっと思いついたように、手にしていたスチール棒で、これも今は火に包まれている、「標的」だったものが被っていた毛布を剥いだ。そこに、「奴」はいなかった。人の形をした木の骨組みが、焼け焦げたダンボールの上に寝そべっており、頭に見えたものは、おそらくはガソリンを詰めた風船だったのだろう。炎に巻かれ、黒い煙を上げる風船の焼けカスがチラっと見えた。 「なんだあ、こりゃあ?」  タケシは続いて、ガード下にあった他の「寝床」のダンボールを、スチール棒で引っぺがした。  びゅんっ!  そこにやはり、「奴ら」の姿はなく。引っぺがしたダンボールの中を覗き込んだタケシの顔面に、無数のガラスの破片が襲い掛かった。 「うわああああ!」  思わず顔を覆ったタケシに突き刺さったそれは、何か透明な酒の瓶でも砕いたもののように見えた。今度はパイプで寝床を叩いたわけではなかったから、おそらくは最初から砕いたガラスを用意していて、ダンボールを剥がしたりすると飛び出すような仕掛けがしてあったのだろう。先ほどのガソリンといい、このガラスの破片といい。完全に、アキラたちが来るのを予期して、仕組まれたものだった。それがわかった瞬間、アキラとタケシをとてつもない恐怖が襲った。俺たちは、罠にかかったのだ。ハメられたのだ……!
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