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「ちくしょう、ちくしょう!」
タケシは顔や手に突き刺さった破片を必死に抜こうとしていたが、次の瞬間、くるっと向きを変え、自分達が入ってきたガードの入り口に向かって走り出そうとした。「待て!」アキラは思わず叫んだ。マッチはさっき、そちらの方向から飛んで来たのだ。そしてケンジは、反対側の出口で「捕まった」。俺たちは、このガード下の中で「奴ら」に包囲されているんだ!
「どうする、どうするアキラ?」
タケシが血だらけの顔の、怯えきった目でアキラを見つめた。しかし、アキラにもどうすればいいのかなんて、まったくわからなかった。ただ、金属バットを両手で握り締め、ガード下のどちらへ動く事も出来ず、ブルブルと震えているだけだった。
「ああ、ジュン、スグル! ちくしょう……!」
今度は、タケシの泣きそうな声がガード下にこだました。さっきまで悲鳴をあげ、転げまわっていた二人は、いつのまにかその動きを止めていた。ジュンとスグルだったものは、今はどう見ても人間とは思えぬほど焼け爛れ、醜く変色した肉の塊になっていた。
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