番外編《届かぬ想い》

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撮影もあらかた終了した夜のBOUS内… みずきは今日の撮影を終えてシャワールームで汗を流していた。 そこへ、先輩性優がやってくる。 「よー、お疲れー」 「おぅ、早かったなぁお前」 「お前こそ、」 「俺は二本撮りの前半だけだったからな、お前は?」 「俺は相手がユウだったしな…楽勝」 「あぁ、あいつはNGださねぇもんなぁ」 先輩2人はシャワー個室に入りながらも会話を続ける… 自分の名が出され少し居づらいと思い、シャワーを早く終わらせて帰ろうと思うみずき。 「そうそう、今日、尻軽来てるぜ?」 「おー、つかお前の撮影相手だったんだろ?」 「まぁな、二本撮り前半はセイヤと2人でレイプ撮影、後半はセイヤが1人でヤってる。もう終わる頃だろ」 「じゃ一緒に喰いに行く?」 「早くしないと助手の先輩に取られるからな」 「あぁ、アイツ誰とでもOKだからなぁ」 そう笑う先輩たち… 『尻軽』と言われているのは性優のサクヤのこと… BOUS内では、サクヤの悪噂は絶えない… 売上は常に人気上位に食い込むほどだが… 攻専門の先輩や助手に『いつでも、誰とでもやれる奴』などと言われているのだ。 「口では嫌がるくせにいざ始めたら殆ど抵抗しねーもんなぁ…」 「嫌がるアレも演技とか?腹ん中じゃもっと襲って~ってな!」 さらに話続ける先輩たち… 「はははっモロ誘ってるもんなぁアイツ」 「相当モノくわえんの好きなんだろーぜ」 「恐いなぁーあんな綺麗なカオしているくせに」 「美人は性格悪いって言うからな」 「アイツの場合、性格っつーか、人格?」 「Hナシじゃ生きていけませーんって?人格の崩壊してんじゃん…」 言いたい放題、勝手な妄想でサクヤの悪口を言っている先輩たち… 「まぁーでもああいう綺麗どころのSEXマシーンはBOUSに2人以上は必要だよな」 「お互い楽しめて…」 ドガッ!! 聞くに耐えなくてみずきは壁をひと殴りして…シャワールームを出て行く。 先輩たちは個室の中で、何だ?と言い合っている。 上下関係の厳しいBOUSでは年下が年上に直接意見することなど出来ないから… みずきなりの方法で会話を中断させるのが精一杯だった。 サクヤの噂を聞く度につらくなる… あんなサクヤの悪口を言っている奴らが、次の瞬間にはサクヤをレイプして遊んでいる。 そんなことが… 許されていいのか… やり場のない怒りに心が震える。 それでも、自分はサクヤに干渉出来るほど親しくもない… 完全な片想いだから… かといって、レイプされると分かっているのに、何もせず帰ることは…できそうもない。 足は、サクヤが撮影しているであろうスタジオに向かっていた… もともと好かれていない俺だから… どう思われようと… スタジオからは、ざわざわと助手たちが出てきている…もう撮影は終わったようだ。 サクヤは… 出て来ない… たまにすぐには出てこず、撮影スタジオで少し休んでからシャワーを浴びに行くことがあるサクヤ。 みずきは、そっとスタジオ内を覗いてみた。 案の定、セットのソファーで休むサクヤの姿… 撮影後… バスローブを羽織っただけの… かなり無防備だ… そんな姿を目にして…胸の内が熱くなりドキドキしてしまうみずき。 ぱっと頭を振り、理性を保たせる… もうすぐ先輩たちがサクヤを狙ってやってくるだろう… そっと肩を揺らしサクヤを起こすみずき。 「おい…」 「ん…」 小さく反応する。 「ここは危ない…」 ぐいっと腕を引き、そのまま腰を支えて立ち上がらせる。 「は?え…何?」 急に起こされハテナだらけのサクヤ。 「……」 みずきは構わずスタジオを出る。 ゆっくり説明している時間はないから… 「ちょ、離せっよ!オレ疲れてるんだ…」 サクヤは連れられ歩きながらも拒否を示す。 「っ…何だよ、もう」 みずきから逃れようと弱々しくもがく。 「静かに…」 一声かけ振り返り、一瞬だけサクヤの顔を見るみずき。 「……、え…ユウ!?」 改めて顔を確認して驚くサクヤ。 かなり予想外な人物だったから… 「……」 みずきはそのまま向かいの部屋にサクヤを避難させる。 「……何なんだよ、いきなり」 訳が分からなくてサクヤは機嫌が悪い。 「…そこで休んでいろ」 二人きりということでかなり緊張して思うように言葉が出ないみずき。 ぶっきらぼうな言い方になってしまう… 「はぁ?」 ますます不機嫌になるサクヤ…
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