短編《7月7日》加筆。

3/9
前へ
/131ページ
次へ
「年の数?お前いくつになったんだっけ?」 「21…」 「ぶっ、21本もろうそく立てたらケーキ燃えるんじゃね?」 そう吹き出して笑うアキラ。 「……いや、あの、ケーキはいいから」 アキラが想像しているものと自分が想像しているものに相違を感じて、ケーキの話題から外れるみずき。 「んーなら御飯を豪華にするかな…」 首を傾げ、続けて… 「じゃ棒々鶏は?青椒肉絲や回鍋肉とか?」 中華系でまとめようと思ったのかそう聞いてくる。 「えっ…」 アキラに言われた食べ物が全部どんなものか頭に思い浮ばなくて、ややパニックになり、答えに詰まるみずき… ほいこーろーって何だ? 「……」 焦って頭の中が真っ白になる。 「おい、聞いてるんだから答えろよな」 アキラは答えないみずきにやや怒っていう。 「す、すまない…ほいこーろーでいい」 とりあえず分からないなりにも選んで頷くみずき。 「OK、それと卵スープくらいでいっか」 頷いてアキラはメニューを決めていく。 「あぁ、充分だから…」 アキラがそんなに怒っていなくて安心するみずき。息をつく。 「酒は?」 ふいに思いついたように聞いてくるアキラ。 「いや…」 特に酒好きというわけでもないみずき、首をかしげるが… 「呑めないのか?」 「いや…」 むしろ強いほうなみずき… 「じゃ、なんか買う?誕生日くらい飲めば?」 「あぁ…」 アキラに勧められると拒否はできないみずき、いわれるまま頷く。 そのままマイペースなアキラについて買い物を終える。 買い物袋はすすんでみずきが持ち、アキラ宅へと帰って行く2人。 自宅に着き、買い物したものを片付けるアキラをさり気に手伝いながら… 「アキラ、少し休んでからでいいよ…」 「んー、みずきって明日仕事?」 「あぁ…」 「そっか、でも泊まってく?」 そうみずきを誘う。そして身体を寄せて甘く囁く。 「誕生日だからイロイロサービスしてやるよ」 「えっ…」 アキラの突然の言葉に驚くみずき… 「ふっ…プレゼント用意してないからオレがプレゼントみたいな感じで」 アキラはみずきの耳元で囁くように伝えてくる… 「…アキラ、」 ドキリと心臓が鳴るみずきだが… 「でも裸エプロンとか無理だからな」 微笑み試すようにみずきに伝えるアキラ。 「いや、アキラ…そんなことは」 アキラの言葉に驚き、慌てて首を振る。 「冗談だよ」 そうクスクス笑う可愛いひと。 「あぁ…」 たじたじのみずきをみて楽しみ… 「少し休も」 みずきの頬にキスを落としながらそう呼ぶアキラ。 「あぁ…」 アキラに触れられてドキドキする気持ちを隠しながら平静を保ってなんとか頷く。 しばらくソファでテレビを見ながら休憩した後、アキラは夕食の準備に取りかかる。 みずきは何か手伝いたかったが、料理は逆に邪魔してしまいそうで、おとなしく待つことにする。 しばらくするとアキラから声がかかる。 「みずき、一緒にやろ」 呼ばれて食卓に来てみると、アキラが餃子の皮に中身を入れていた… 「2人でやった方が早いから、手洗ってきて。はい」 みずきに半分餃子の皮を渡して、簡単に説明するアキラ。 「あぁ…」 頷いたものの、餃子なんか包んだことがないみずき。 アキラの様子を見つつ、見様見真似で取りかかる。 アキラは手早く餃子の具を包んでヒダをつけている。 具を乗せて…水をつけて…挟む… が…上手く挟めずヒダが作れないみずき… 皮が破れてしまう… 「ん?ちょ…それ具多すぎ!てか水つけすぎだよ」 みずきの様子を見たアキラが呆れたように言う。 「す、すまない…」 「ったくもう、これで、こうして…こう!分かった?」 アキラは見かねて、みずきのそばに来て、みずきの手に皮を乗せて、そこで教えてくれる。 「あ、あぁ」 アキラに触れられると心臓が勝手にドキドキしてしまうが、怒られないようしっかり覚えるみずき。 アキラは自分の取り分をさっさと包んでいく… みずきはアキラが3つ作る間にようやく1個と言うペース…
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加