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「その…誤解されないように、人一倍気を付けてたし。女子学生とふたりきりになんて、絶対なったりしないようなひとだったし。そういうのにあまり興味がないひとなのかなあって、ちょっと思ってたり?」
直接的な表現では答えられずぼやかせば、もっとおかしそうに喉を鳴らされた。
「『先生』なら迂闊な事をすれば、最悪職を失う羽目にもなる。クビになったら、死活問題だ。慎重にもなる」
「…それは、そうだけど」
「泉夏が知ってる大学での俺は、ほんの一部分だ。それを俺の全てだと思って、神聖化し過ぎてる」
-本当の俺はそんなんじゃない。
からかってくる秀王に、泉夏は火照った頬で訊き返す。
「じゃ…どんな?」
-どんなのが、本当の先生?
真剣な眼差しの泉夏に、少し考えた後、秀王は開口した。
「裸の女を見たら普通に興奮するし、それが好きな相手なら尚の事。色っぽい声と顔で誘われたら、いつまでだって離したくなる。…聖人でもなんでもない、どこにでもいる普通の男だよ」
瞬きひとつせず見据えられ、泉夏の顔は赤みを増した。
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