北白亜

2/11
前へ
/38ページ
次へ
「おい、美鶴!! 何をしてたんだ!!」 「すまない……。死角から刀を……」  怜華は言い合いの声で目を覚ました。  手甲を取り付けた腕を美鶴に突きつけている光。 紺色の道中羽織を身につけて、編み笠を被っている。   「そんなことを言うとる場合では無いように見えるがのぉ」 「だから子供がいるところで喫煙するな、遊女!」  女の人の声が混ざってきた。  怜華はゆっくりと顔を動かす。  そこには、いまにも散り散りになろうとしている煙があった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加