北白亜

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 美鶴は怒鳴り、外套と編み笠を置いて門の中へと消えていった。   「その話をするな、か」  その背を蔑むような目で眺める光が呟き、ふいに目を伏せた。 「少し、懐かしい言葉な気がする……」 「お姉ちゃん。怜華のお姉ちゃん、あのお兄ちゃん追いかけに行っちゃったよ?」  エミリーの言葉に光は顔を上げる。地面に置かれていた編み笠と外套が、一つずつ無くなっている。   「……バカだな。女の身で吉原の街に入るなんて」  彼女はその砂のついた外套を拾った。軽く砂を払い、男物の服と共に身につける。  エミリーにも外套を羽織らせ、小さい編み笠を乗せる。  彼女も笠を被り、付いている紐を顎に結んだ。 「それじゃあ、しばらく借りるぞ。兄弟。いや、姉妹なのかな」  彼女は面白そうに、嬉しそうに笑った。
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