まつ

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 月夜になびく髪。優しげなのに、どこか空恐ろしい笑みを浮かべる怜凛に怜華は駆け寄り抱きついた。 「楔ノ巫女か⁉︎ まさか本当に……」  美鶴が狼狽えている。 「お姉ちゃん!」  怜華が泣きつくと、怜凛は困ったように手を泳がせる。そして、そっと怜華の頭に乗せた。 「会いたかった……。ずっと、信じてた……!」  怜華の言葉を静かに聞いていた怜凛は、やがて怜華の身体を押し出した。 「怜華。ちゃんと見ておけ。様々なところに散りばめられた、この世界の矛盾を。私を救いたいなら」 「え……? どういうこと……? なんで……」  怜凛はどこからか現れた大きな刀をおもむろに持ち上げる。 「三つ、ヒントをやろう。 一つ。この北白亜には、ある少数の種族がある。そいつらの特徴は、傭兵種族であること。 二つ。ここの国の過去の名は、(かん)。 三つ。この国には、ある妖怪がいるんだ。そいつらには、人に忠誠を誓う知能を持ったやつが少数いる。そして、そいつらの最大の特徴は、化ける事ができるんだ」
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