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怜華は何も言わなかった。
何度も何度も文を読み直した。
手が震え出しても何度も。
「怜華? 何が書いてあったんだい」
様子の変化に気付いたライアが聞くが、怜華は何も言わずに首を振った。
「こんにちは、紫伯梁さん、ライアさん、れいかさ……」
桂香が戸を叩く音がする。それを聞いて、怜華は扉を開き、そして彼女の胸ぐらを掴んだ。
グッと歯を食いしばり、桂香を睨みながら呟く。今すぐ揺さぶりたいと言う思いを抑えていると、声が震えた。
「そんな訳ない……私とあなたが……双子だなんて! そんな訳……」
怜華は言いながらも力無く手を離し、床に座り込んだ。
理解の追いついていない様子の桂香は、オロオロしたまま戻るか残るか決めかねるように足を動かしている。
たしかに、似ている。
怜華はぼんやりと桂香を見上げてそう思った。
顔のパーツのバランス。病弱そうな痩せた腕。
「……桂香ちゃん。あなた、何歳?」
桂香はビクリと身を震わし怜華を見る。怯えて震えた、掠れた声で答えた。
「十四歳……」
「誕生日は……」
泣きそうな顔で、自分の手を庇うかのように握りながら、桂香は囁くように言う。
「五月、三十一日……」
怜華は口角を上げた。その頬を涙が伝う。
「そっか。そっか! ハハハッ! アッハハハ!!!」
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