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ひとしきり笑い、涙を流す。
もう、なんでも良かった。
「まさか……怜華の誕生日は……」
紫伯梁はそこで黙り込んだ。ライアも唖然と桂香、怜華を見つめている。
俯いて黙り込んでいた怜華は、ふらりと立ち上がった。
「助けなきゃ。私のせいで、お姉ちゃんは変なところに行っちゃったんだ」
「怜華。何度も言った。怜凛はもう生きていない。神の領域で……」
「うるさいっ!」
紫伯梁の言葉を遮り、怜華は叫ぶ。紫伯梁は言葉を呑み込み後ずさった。
怜華は彼に背を向けたまま、やり場のない怒りに耐える。ぐっと拳を握り、泣きそうになるのを抑え込もうとした。
「いつもいつも! 紫伯兄さんは諦めろって!! 私は……私はお姉ちゃんと一緒に暮らしたいだけなの!!」
怜華は返事を待たずに家を出る。
「ライアも、紫伯兄さんも……! 諦めろしか言わないんだから!」
気付けば視界が歪んでいた。流れ落ちる涙を拭い、怜華は走った。
暖かい服装で側を歩く家族たち。中には寒そうな格好をしている人々もいるが、みんなが笑顔だ。
(どうして、私だけ……!)
彼らの間を駆け抜けながら、怜華は憎んだ。何に対してか分からない。だが、憎かった。
「これが運命だとでも言うの……?」
怜華は足を止める。荒い呼吸のまま、視線を感じて振り返った。
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