ユリエ

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 そして初老の男は、目を見開いたまま立ち尽くすユリエに、そっと囁いた。 「さあ、帰ろう。大丈夫、お前を解体なんかさせやしないよ。ここにいる刑事さんたちにも、お前がどんな目にあっていたか見せてやろう。きっと、わかってもらえるさ。そしてまた、新しくやり直そう……」  ユリエは、まだかすかに残った意識の中で、繰り返し繰り返し、考えていた。  いつか、きっと。誰かが私を、迎えに来てくれる。ここは、私の家なんかじゃない。いつか、きっと……。
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