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「『お久しぶりです。みんな、忙しいのに、時間を見つけて来てくれて有難う』」
そんな言葉から始まった。
「『今日は、私が新しく出発するのに、みんなに報告したくて来てもらいました。見て通り、私は2年間、絵の勉強をして、今沢山の絵を描いています』」
その後は、この2年間のことを綴っていた。
試しに始めた室町さんは、とにかくアイドルのことは忘れたかったらしい。他のことを考えなくていいものが欲しかったらしく、それが絵画だったと言う。
はじめてみたら、絵画を描くのが楽しくて、毎日が充実していたとも書かれていた。
「『でも、結局、アイドルやみんなのことを忘れるなんて出来なかった』」
私は喉に何か詰まるものを感じる。
「『みんなが頑張っているのをテレビで見るたびに、約束を守れなかった自分が嫌になって、申し訳なくなって、私がみんなの夢を奪ったってそればかり考えてた』」
胸が痛い。私は絵画を自分で一度辞めたけど、それでも心は鉛のように重くて、辛かった。
辞めざるを得なかった彼女は、どのくらい辛かったのだろう。それを考えると、読むのも辛くなった。でも、これを提案したのは私だ。
ちゃんと責任持ってやらないと。
「『だから、ずっと、私は自分のやりたいことをやらない方がいいと思ってた。私は私が許せなかった。
今、匿名で絵画を数枚売ってる。白浜さんが、すごく褒めてくれて、本当に画家、室町理絵として活動したくなった。だから、みんなに許してもらいたくて、今日来てもらいました』」
これを書くのにどれだけ勇気がいるんだろう。
声が震える。
「『どうか、画家として新しく出発させてください』」
同時に、室町さんは頭を下げた。
彼女の責任感の強さが胸に響く。
安土さんが、頭を下げる室町さんを抱き締めた。
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