序章 美

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「白浜については、まず仕事を教えとけ。今はそれでいい」 「はい」 「ま、おもしれぇイベントが6月に発生するから、そのときに話せるといいかもしれねぇな」 「6月? 何かあるんですか?」 「言えねぇけど、マジで面白い。楽しみにしておけよ」 にやりと笑ってやると、守谷は首を傾げた。 白浜も面白いときに入社したよな。 山崎愛海に憧れてるか……。 6月が楽しみで仕方なくなってくる。 「ところで倉さん」 「あ?」 「白浜さん、倉さんに目がハートでしたけど大丈夫ですか?」 立ち上がり掛けたところで、何を言い出すんだこいつ。 俺はもう帰って風呂入って、夕飯食いてぇんだよ。 「ほっとけ」 「えー。でも、山崎さんの話して、かなりショック受けてましたよ」 「受けさせとけよ。面倒くせぇ。お前もそう思ってわざと山崎の話をしてたんだろ?」 「僕は山崎倉内コンビを敬愛してるので」 ああ、なるほどな。 こいつは俺と山崎のことが好きだったな。 山崎の話ばっかするから、ちょっとヒヤヒヤしていた。一時の気の迷いだろうし、神経は逆撫でしたくねぇ。 長坂さんには、女性の扱いには気を付けるようにと釘を刺されている。俺の言い方はナイフのようだと言われた。いや、わかってるけど、優しく言うってどうやんだよ? 無理だわ。
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