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「あ、あぁ、まあ……」
どうせ覚えていないと言っても一から話を聞かなきゃならないと思うと、早く終わらせて欲しい気持ちで一杯だ。
「まだ好きなんですか?」
「ん? そうだね。多分、ずっと好きだと思うよ」
甘利さんが羨ましい。こんなに想われてるなんて……。むしろ、今、彼女を差し置いて、2人きりになってる私は、性格が悪い。
「想い……通じたんですか? たしか、支店長になったら告白したいっておっしゃってましたよね?」
失恋したら、私は、すぐに帰ろう。
胸がズキズキ痛むのは後だ。今は、知らないフリをする。
「ああ、なかなか予定合わないんだよね」
「え、そうなんですか?」
甘利さんなら、すぐに予定合わせてくれそうなのに。
意外だ。
「なんか避けられてる気もしてさ」
「いや、気のせいだと思いますけど」
甘利さんに何か言われて、あんなに顔を赤くしていた守谷さんを思い出す。避けられる? いや、甘利さんはそんなことないと思う。
「経験豊富そうなのに、意外に鈍感なんだよね」
え!?
甘利さんって経験豊富なの!?
いや、でも、確かに、あの可愛らしい声に控えめな感じは男受け良いかもしれない。男の人は放っておかない。
「結構アピールしてるんだけど」
そうなんだ……。どんなアピールしてるんだろう?
「どんなアピールを?」
「去年のクリスマスにプレゼントしたかな」
「プレゼント……」
「なんか頑張ってるのが可愛くて頭を撫でてしまったし、正直、あのままキスもしたかったよね」
……聞くんじゃなかった。
やっぱり、私だけじゃなかったんだ。クリスマスにプレゼントしたのは、私だけじゃない。甘利さんにもだ。
甘利さんにプレゼントしたら、喜んでもらって、きっとキスしたくなったんだろうな。
「それは絶対にいけますよ! なんで告白しないんですか?」
そう聞く。
あ。私、間違えた。
なんで、守谷さんと甘利さんを応援する形になってんだろう?
私は守谷さんが好きで……。告白していないなら、告白すればいいじゃん。
倉内さんのときは愛海さんがいても平気でした告白を、彼の前ではできない。
もどかしい。
「なんで告白をしないか?」
守谷さんが聞き返した。ちょっぴり怒っているようにも感じる。
「それはね。今日まで、会ってくれなかったからかな」
「そんな人いるんですか?」
「……僕が言えたことじゃないけど、結構拗らせてるよね?」
彼の言葉に私は固まる。
守谷さんはため息をつくと、座り直した。
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