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「有難うございます。私も、守谷さんが好きです」
もう変な緊張もない。守谷さんは嬉しそうに微笑むと、喉が乾いていたのか、ワインを飲んだ。
「呼び方どうしようか」
「呼び方……ですか?」
「割りと色々我慢してるからね。僕。間宮くんが彩月ちゃんって呼んでるの羨ましくて仕方なかった」
どうしよう。守谷さん、めちゃくちゃ可愛い……!
私の方が我慢できそうにない。
「彩月ちゃん……」
「はい」
「あ、さっちゃん」
さっちゃん……。初めて呼ばれた。
「なんでさっちゃんなんですか」
「他の人が呼んでない呼び方がいいなと思ったんだけど、嫌だ?」
「いえ……。全然」
むしろ、そんな可愛い理由なんですか。
全然呼んでもらって大丈夫です。
……私、明日生きてるかな。
「僕は?」
「も、守谷さんですか?」
「なんて呼んでくれる?」
下の名前ってことだよね……。
「ま、正紀さん」
「呼び捨てでもいいよ?」
「いや、その、これが限界です」
そう言うと、守谷さんはにこりと笑った。
「わかった」
ああ、どうしよう。
私、今、すっごく幸せだ。
こんなこと初めてかもしれない。
今まで色んな恋愛してきたけど、彼だけは少し違う。
多分、今、バベルの塔描いたら、ピンク色になると思う。
しばらくバベルの塔は中断だなぁ。違うものを描こうっと。
そんなわけで、しばらく恋人としての時間を楽しんだあと、私と守谷……正紀さんは次の約束をして別れた。
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