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「山崎さん、倉内さんと結婚して、子どもいるの!?」
「え、いますよね?」
「ちょっと待って、なんで知ってるの?」
「剣崎さん」
「ああ」
まるで同窓会での再会みたいな勢いで、わちゃわちゃ楽しそうな声が聞こえてきた。愛海さんの声しかわからない。
中に入ってくる彼女たちは、圧倒的なオーラを放っていた。
これが芸能人……。
キラキラしてる。
「お待たせ。こっちだよ」
愛海さんが、中に案内する。3人の元メンバーは、室町さんの絵画を見渡して、目がキラキラと輝いていた。
「久しぶり。元気にしてた?」
安土明日美さんが、室町さんに声をかける。彼女はたしか、グループのリーダーをやっていた。愛海さんより少し年下だったっけ?
室町さんはこくりと頷いた。奈良みのはさんと、飛鳥茉美さんも「お久しぶり」と嬉しそうに微笑んだ。
「初めまして、白浜と申します」
「あ、理絵の担当さんですね。先ほど、山崎さんから聞きました。宜しくお願いします」
頭を下げる彼女はだいぶ大人だ。大人の雰囲気、ボーイッシュな彼女は女の私でも惚れてしまいそう。宝塚に行ったら、こんな感じなんだろうな、と想像できた。
「それじゃ、はじめましょうか」
私は室町さんを見つめた。彼女は頷いて、私にノートを渡してきた。
え……?
見せるんじゃないの?
「よ、読んでしまって良いんですか?」
そう聞くと、彼女は目を細めて頷いた。思わず、咳払いをする。
結婚式で焦ってスピーチをやる人の気持ちがわかる。本当に咳払いをしてしまう。
私はノートを開いた。1ページ目から、わかりやすい字で、何を話して欲しいのかが書いてある。
1ページ目の冒頭は、私に、『突然お願いしてごめんなさい。どうしても、白浜さんにお願いしたくて、お渡ししました』と書いてあった。
可愛いな……。
私は気を取り直して、読む。
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