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Mayday 短編/完結
並木道が薄紅色に染まり、少し歩くと汗ばむほどに温かい空気が街をラッピングする。
中学3年になった祐二にとって、春という季節は「再生」と「希望」を託す暦であった。
「クラス替え」に対する生徒の感情は一概ではない。
悪友との別れを惜しむ男子、連れとの別れを嘆く女子、
いじめから開放される事に歓喜する者、周囲の変化に無関心を装う者。
「クラス替え」というパワーバランスのシャッフルは、生徒達の運命すら左右する。
いまいち目立たなかった生徒が急激に頭角を現したり、
逆にそれまで維持していた権力の全てを失う生徒も居る。
「クラスが変わっても、休み時間は遊ぼうね」
この約束が2ヶ月以上維持される事はごく稀なケースである。
時間の経過と共にお互いの距離は希薄になり、廊下をすれ違うたびに視線は泳ぎ、気まずさが漂うのだ。
そして、このクラス替えに自らの命運を託す者達も存在する。
前クラスでイジメに遭うか、或いはクラスの影的存在に追いやられるか、
彼らにとってはクラス替えの瞬間こそが、自らをリセットする唯一のチャンスである。
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