初夢

4/5
前へ
/5ページ
次へ
それからも数日続けて同じ夢を見た。 いつも家を出て図書館で待ち合わせる、只それだけの夢。 だが、ゆうべは少し違った。 私がノートに何かを書いていたのだ。 B・・C・・J・・3・・K・・何かの暗号だろうか。 私には全く憶えの無い文字の羅列だったが、 書いているのは確かに私自信だった。 隣の彼は何かを優しく囁いている様に思えた。 しかし何を言っているのかは解らなかった。 それからしばらく,意味の無い文字を一つづつ思い出しながら書き続けた。 ・・・どれくらい経っただろう。 31文字目を書いて32文字目を思い出そうとしたとき、 それが最後の1文字だと気づいた。 それを思い出したら全てが終わってしまう。 この心地よい夢の世界も、彼との柔らかな時間も・・・。 思い出したくないという想いとは裏腹に 私の持つペンは最後のひと文字を書き記す。 ああ、これで終りだ。 もう、彼ともお別れだ。 そう思った瞬間、 目の前の景色がミルクの様に溶けて私は深い眠りに落ちた。 ・・・意識が途切れる間際、彼が何かを呟いた様な気がした。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加