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それからも数日続けて同じ夢を見た。
いつも家を出て図書館で待ち合わせる、只それだけの夢。
だが、ゆうべは少し違った。
私がノートに何かを書いていたのだ。
B・・C・・J・・3・・K・・何かの暗号だろうか。
私には全く憶えの無い文字の羅列だったが、
書いているのは確かに私自信だった。
隣の彼は何かを優しく囁いている様に思えた。
しかし何を言っているのかは解らなかった。
それからしばらく,意味の無い文字を一つづつ思い出しながら書き続けた。
・・・どれくらい経っただろう。
31文字目を書いて32文字目を思い出そうとしたとき、
それが最後の1文字だと気づいた。
それを思い出したら全てが終わってしまう。
この心地よい夢の世界も、彼との柔らかな時間も・・・。
思い出したくないという想いとは裏腹に
私の持つペンは最後のひと文字を書き記す。
ああ、これで終りだ。
もう、彼ともお別れだ。
そう思った瞬間、
目の前の景色がミルクの様に溶けて私は深い眠りに落ちた。
・・・意識が途切れる間際、彼が何かを呟いた様な気がした。
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