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青年は一瞬、唖然としたが、怒ろうにも唾が気になってそれどころでなくなり慌てふためいて噴水の中に飛び込んだ。
そして唾を濯ぎ落とし、濡れたアベノマスクも仕方なく取って濯ぐと、噴水からべとっとした濡れ雑巾のようにぐにゃっと出た。
嗚呼、なんてこった。
ずぶ濡れだ。
それよりなによりコロナに感染してしまったのではないかと青年は当然ながら心配になった。
よりによってあんなカップルと出会うとは・・・
俺はよっぽど運が悪いと青年は思った。
自宅へ帰る道すがら偶に会う人に白い目で見られ避けられた。
このご時世にマスクもせずに而も雨も降ってないのに頭からバケツの水を被ったように出歩く。
奇人変人狂人と思われてもしょうがないかと青年は思った。
コロナ自警団に見つからない内に帰らなくてはと青年はその事ばかり思って歩いていると、カシャっというデジカメのシャッターを切る音が背後から聞こえて来たので思わず振り向いた。
すると、そこにいた男がまたシャッターを切るや、駆け出して去ってしまった。
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