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※※※
旅行会社に勤めているおとんの北海道への転勤が決まった。
新たな勤務地。
それは札幌。
住居はそのベッドタウンに決まった。
おとんいわく「左遷やないぞ。よりよい商品を作るために現地に送り込まれんねんぞ。言わば、パイオニアっちゅうヤツや。力量を認められてるからこそ選ばれたんや」などという景気のいい話だった。だけど、いきなり一軒家を購入してしまうというのはいかがなものか。
おとんってば、完全に北海道に骨をうずめるつもりらしい。
※※※
初めての転校は、のっけから、まあ上手くいった。
とはいえ、最初は大阪から来たということ、またそっちの方言を話すというだけで、まるで異星人扱いだった。
アホっぽい奴は「なあ、おまえ、やっぱケンカはなまら強いんか?」などと訊いてくる。「まあ、それなりにな」とテキトーに答えておいた。
ナメられるのはゆるせない。ナメるのだって嫌い。
俺は俺の道を行く。
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