愛しの雄牛さま。

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………………………………… ………………………………………………ん。 「ソイ。いくら(むね)フェチのお前でも、それは犯罪だぞ」 「ソイ、眠ってる間に返してこい!」 「あははっ!ソイさん(さら)ってきちゃったの?」 何だか僕の周りで(にぎ)やかな声がする。 体が安心できるしっかりした(あたた)かいものに包まれている。 「()げぇーよ。胸好(むねず)きは否定(ひてい)しねぇが、コイツが家の前で(たお)れてたから(ひろ)ってやったのッ!」 「このコが牛の獣人でなければ放置だったな。」 「説得力に欠ける。胸にしか興味のない(オス)の言葉ッおっ!、起きた」 え―…と、この状況って何? 僕を見ている左からホストっぽい20代の茶髪のイケメンの頭には鹿(シカ)の角があるし、 その(となり)のリアル黒毛の(くま)!? 僕に笑いかけている小学生くらいの少年は気褐色の髪色に(サル)のような細長い尻尾(しっぽ)がユラユラしている。 そして僕を姫抱(ひめだ)きしてる筋肉質な30代のアメリカンな悪党顔の男に見下ろされていた。 ぐぅうう―――… うわぁっ!盛大に僕の腹の音がその場に響いたのだった。 「何? 腹、減ってんの?」と抱きかかえる男に聞かれて、顔を赤くしながら(うなず)けばそのまま歩き出したんだけど… あの、自分で歩けるんですけどぉ!! 「家がない?!」 と4人の声がハモり(おどろ)いた表情をする彼らに短く簡潔に現状を説明してモグモグとご飯を食べている。 (そんなに見られると食べにくいんだけど) 「バカか?!こんなスタイルのいい牛の獣人が彷徨(うろつ)いてたら(あぶ)ねぇ―だろうが!その体の希少価値(きしょうかち)を自覚しろよッ!!」 僕を抱きかかえていたソイという男である。体と言いながら僕の胸を見てるような気がするが気のせいだろうか? 「牛の獣人は人気(にんき)があるからな。」 と鹿の角をもつイケメンの名前はジェジュンさん。 隣で一緒に(うなず)いているリアル熊はドヨンさん。 「1人で歩くのは危ないよぉ?」 両手で頬杖をついて心配そうな表情で言ったのはヨニ君。 いや、胸は大きいけど(オス)で腹筋は割れてる筋肉質な体なんだけど… (っていうか僕は牛の獣人だったんだ?!) 「牛の獣人は(オス)でもこんなに胸が大きいんですか?」 「だいたいはそんな感じだな、つーか牛の(メス)の獣人なんてレア(ちゅう)のレアだろ?だから雄が進化したって話もあるけどな。雄でも、たまに胸が4つとか特殊な奴もいるらしいけど、アレはアレで大変そうだぞ。」 うう゛…なにそれ怖い… にしてもソイという男は何でこんなに牛の獣人に詳しいんだろう… 僕はご飯を食べ終えて紅茶を飲んでいたんだけれどさっきから何か 胸が痛い気がする… ――ツツ! うう、病気なの?僕が胸を押さえて顔をしかめると 「おい、どっか痛いのか?」とソイが聞き、ジェジュンさんとヨニ君とドヨンさんが心配そうに僕を見た。 「…胸が、ズキズキするというかパンパンになってる感じがして…」 僕が言うと4人は顔を見合(みあ)わせると何とも言えない表情をしていて… 「お前、飲んでもらってないのか?」 飲む?何を……と僕の表情で言いたいことが分かったのだろう ソイは僕の胸に指をむけたのだった。
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