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1日目〜目覚め〜
(っ…!)
「…」
(ここは何処だ)
私は目が覚めた時、見知らぬ場所に寝転んでいた。
私の周りには、同じ学校の生徒達と仲の良い先生達が、苦痛の表情を浮かべている。
「西蒲原さん、大丈夫?」
一人の先生が話しかけてきた。
「あぁ、大丈夫です。」
「良かった、みんなここがどこなのか全然わからなくて混乱してて、この部屋めちゃくちゃ広いじゃん?だから、今他の先生が出口がないか一生懸命探してくれてるんだけど、壁の切れ目すらないって今悪戦苦闘してる。」
「今は休憩時間ですか?」
「まぁそんなところかな、何もしようがないからね」
そんな話をいていると私は壁に備え付けてある大きなテレビのようなものに目がいった。
「下北先生、あれなんですか?」
私は指を刺して問いかけた。
「ん?あぁあれねテレビじゃない?今の所何も映ってないけど」
「そうなんですか」
「あ、ちょっと私、他の生徒のとこ行ってくるわ」
「わかりました」
そんな話を終えて先生は、他の生徒を宥めに行ってしまった。
(先生もこんなことに巻き込まれてこれからも苦労するだろうな)
私は人ごとのようにそんなことを考えていた。
すると、大きな機会音がなったかと思うと、先ほど話していたテレビの画面が白く光り始めた。
「みなさんこんにちは。私の名前はAIです。愛称はありません。これから皆さんにはここから出るためのミッションを幾つかクリアして頂きます。」
そのAIというものはそう言い放つと、テレビの画面を切り替えて、赤い文字を提示してきた。
「今からこちらでこの中から一番ふさわしい生徒をウサギとします。」
周りがざわめく中、音声は淡々と話し続ける。
「今年のウサギは西蒲原那奈さんです」
(私かっ!?)
すると薄暗い部屋で私だけのスポットライトが当てられ、周りの視線が一気に自身へと向けられる。
スポットライトの眩しい光とは裏腹に、私の心情は不安で満ちていた。
しかしそんな中でもAIは話し続ける。
「それからこちらでこの中から一番ふさわしい教師を紳士とします。」
そしてまた私のように、テレビ画面には人名が映し出される。
「今年の紳士は下北柚彦さんです」
(下北先生!)
そして先ほどのように、また薄暗い部屋の中に眩しいスポットライトが下北先生へ向けられる。私の頭上のスポットライトはまだ輝いたままだ。
「以上今年の主人公はこの二人です、ミッションをクリアできるように頑張ってください」
AIはそんな言葉を言い放った後にテレビ画面を暗転させ、眩しく輝いていたスポットライトもフェードアウト《溶暗》していった。
すると下北先生が駆け寄ってきてこういった。
「西蒲原さんちょっときて」
私は先生に言われるがまま後をついていき、群集から少し離れたところまでやってきた。
「先生…」
「落ち着いて…、私も相当動揺してるけど、私も全然何が起こってるかわからない状態だから…」
「私どうすればいいか…」
「私も全然わからないけど、取り敢えず私の側は慣れないで、離れたら何が起こるかわからないから、分かった?」
「わかりました」
私がそういうと先生は軽くため息をついた。そして小声でこういった。
「どうすればいいんだ…」
(私も全くどうすればいいかわからない、それよりウサギと紳士ってなんだ、標的を私たちにした理由はなんなんだ、しかも今年のってことは毎年行われていることなのか?)
そんなことを考えていると先生は頭を抱えながらその場に座り込んでしまった。
「先生大丈夫ですか?体調とか…?」
「うん大丈夫、全然体調はいいんだけど、全然何が起こってるかわからないよ」
(先生が相当混乱している、なんとかしなきゃ)
「先生、取り敢えず深呼吸しませんか?混乱しているのは私たちだけじゃありませんし、ここから出るためなら希望は捨てちゃいけませんよ…?」
そして先生は少し考えた後にこういった。
「そうだね、先生が生徒の前でこんなんじゃダメだし、ごめんね?」
「いいですよ」
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