掃除編-6章:近づく距離、揺れる思い

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彩響の質問に、Mr. Pinkとお母さんが気まずそうにお互いの顔を見る。え、なんかまずいことでも言ったの?二人の様子を探る中、Mr.Pinkが先に口を開けた。 「実はね、ハニー。彼にはもう話をしたんだ。」 「…はい?」 「そう、この話はチームからもう既に彼の方まで届いている。しかし、どうやら河原塚くんはそのオファーを断っているらしくてね。担当者が直接お母さんの方まで連絡をして、彼を説得して欲しいと言ったんだ。」 「あの、断った理由を聞いてもいいですか?」 「それが…成が言うには、『今やってる仕事の契約期間がまだ残っているから、嫌だ』と言ってまして。」 契約期間とは、結局自分の話ではないか。確かに入居家政夫の契約をしたとき、期間は1年だと書いてあったけど…そんないい機会があるなら、止める理由はない。なのになんで、成は今まで一切そのような話をしていないのか、よく分からない。 「そんな、なにもかも例外はあるし、たとえ契約の期間が残っていたとしても、そこは相談の上決めることかと。そして彼は私には一切何の話しもしてきていません。」 「そうだと思ったわ。だから、申し訳ないけど…峯野さんが成と話をしてくれませんか?」 「え?私がですか?」
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