掃除編-6章:近づく距離、揺れる思い

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もうすっかり暗くなった線路沿いをしばらく歩く。片手にはカバン、そして片手には結構大きい箱を持って、彩響は家への道を急いだ。玄関に入る直前、ふとドアノブを回す手が止まる。そのまま彩響はしばらく考え込んだ。悩みの対象、それはもちろん… (私がもし、この話を聞かなかったことにして、成もこのままなにも言わなかったら…この平和な生活がずっと続くのかな?) とても平和で、穏やかで、ずっと続いてほしいと思うこの日々。もう素直に認めよう、自分は成がいてくれて嬉しいのだ。だからこの状況をどうすればいいのか、正直迷っている。話し合って、もし彼が本当に「家政夫をやめる」と言い出したら、そのときは…。 (いや、違う。私の気持ちで決める問題じゃない。これは、あくまで成本人の意志だから、私が止めるか止めないかの問題じゃない。) 軽く深呼吸して、彩響は中へ入った。毎日通っている自分の家なのに、今日はなんだか変な気分になる。リビングに入ると、洗濯物を畳んでいた成がこっちに気付いてくれた。 「お、彩響、お帰り。今日仕事はどうだった?」 「ただいま。いつも通りだったよ。」 「夕ご飯は?食べる?」 「うん、でも、その前に、話がある。…これ、プレゼント。」 「プレゼント?」
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