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長い沈黙が二人を囲む。答えを急かさず、彩響はじっと待った。成の目を見つめて、決して視線をそらさない。どれくらいの時間が経ったのか、またすこしずつ焦り始めた頃、成が口をあけた。
「俺が家政夫やめても、俺たち友達でいられる?」
「…!じゃあ…?」
成が大きく溜め息をつき、すぐ元の顔に戻った。思い荷物を下ろしたような、とても軽い表情だった。
「うん、受けるよ、コーチのオファー。」
「やったー!!」
嬉しさで、思わず成の体に抱きつく。慌てる成とは逆に、彩響は嬉しい声で何度も叫んだ。
「良かったー!!きっとお母さんも喜ぶよ!!おめでとう!!」
「いや、そこまで喜ぶと…凄い複雑な気分になるけど…」
「頑張ってね、応援するから!!弟子さん、ワールドカップに行かせるのよ!」
「まあ…頑張るよ。それより、さっきの質問の答えは?」
「え?あ…仕事やめてももちろん友達だよ。そんな、いきなり縁切ったりするわけないから心配しないで。」
「…そっか…」
複雑な顔で成が彩響を自分から離す。つい興奮したことが恥ずかしくなり、彩響が謝る。
「あ、ごめん。つい嬉しくて。」
「いや、まあ…そういうことにしておこう。」
「…?」
「…戻ろう、彩響。又ハーゲンダッツ奢るよ。」
「うん、ありがとう!!」
なんだか元気のない反応が気になったけど、取り敢えずオファーを受けてくれる
ことが嬉しい。彩響は軽い足取りで成の後を追いかけた。
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