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まさか、こんな決まりがあったとは。30日なんて長過ぎる。あんなやつと一ヶ月も一緒にいなきゃいけないなんて…!混乱する彩響の顔に気づいたMr.Pinkが再び口を開ける。
「すまない、ハニー。会社を経営するにはなんだかんだ言っていろんな規則が必要なのだ。もちろん、どうしても嫌なら彼をすぐやめさせる。しかし契約上返金は一切無い。それでも構わないなら、そうしてくれ。」
1ヶ月の金額を無駄にするか、それとも1ヶ月を我慢するかー。彩響は頭を抱えて悩み続けた。お金は正直勿体無い。そしてボロ屋敷の家に帰るのも遠慮したい。結局彼女が選ぶ道は一つだけだった。
「分かりました、これから1ヶ月我慢します。」
「いいチョイスだよ、ハニー。河原塚くんはとても優秀でいい青年だ。君もきっと好きになるし、ハニーの役に立つよ。」
(どこが役に立つの?もうこんなに嫌なんですけど??)
もう何もかもが嫌になり、彩響は軽い挨拶だけしてそのままオフィスを出た。てくてくと駅に向かい、プラットフォームに立っていると、朝日が更に眩しく感じた。ベンチに座り、彩響は目を閉じたままじっくりと考えた。
そうだ、1ヶ月なんてすぐ終わる。だからそれまでの我慢だ。
見てみなさい、一ヶ月がたったその瞬間…
「ーーあいつ、絶対首にしてやる!!」
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