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「いやー本当に会ってくれてありがとうございます!!断られると思ったから本当に嬉しいです!!」
次の週末、夜、会社の近くのイタリアンレストラン。
目の前にはナンパされた相手。
ウキウキしている相手の前で、彩響はなにも言わずただ微笑んだ。
(結局、来てしまった…。)
どういう風の吹き回しか、このナンパの相手と数回メッセージのやり取りをして、結局こうして食事まですることになってしまった。自分でも自分の行動に驚いている中、相手が明るい顔で自己紹介をし始めた。
「俺、設計事務所で働いている石井尊と申します。事務所ここから近いです。さいきさんはお仕事なにをされてますか?」
「あ、はい…雑誌の編集を…。」
「そうだったんですね。あ、俺歳は27です。本当に来てくれてありがとうございます!」
(27か、成と同い年だよね…)
石井さんは見た目誠実そうで、喋り方もはっきりしていて、軽いノリでナンパをしてくるタイプには見えなかった。むしろ改めて見ると、とても好印象だった。理央が言ってたように、もしかしたら本当に「いいご縁」になるかもしれない。せっかくここまで来たから、彩響も気軽に考えることにした。
「私、30です。」
「そうだったんですね。あの、以前も言いましたけど俺元々こんなナンパとか絶対しないんですけど、なんだかあの日はすごく声をかけたくて。気に障ったなら先に謝ります。」
「ええ、まあ…」
「早速ですけど、さいきさん、彼氏はいますか?」
「え?いいえ、いないですけど…。」
「だと思いました!あ、いない雰囲気とかそういんじゃなくて、ここに来てくれたからそうなんだなーと思っただけです。好きな食べ物は何ですか?」
「え、ああ、ビーフシチュー…とか?」
「お、しゃれてますね。俺、煮物は得意ですけどシチューは作ったことないんですよねー今度挑戦してみようかな。」
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