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石井さんはどうも自分のことが相当気に入ったようで、ずっとはしゃいでいる。そうか、最近の若い人はこんな感じなのか…と思いつつ、やはり同い年であるあの元家政夫さんのことを思い出してしまう。
(そう言えば、あの大掃除のあと、ハーゲンダッツ買ってくれた日…こういう話してた。)
ー「ーで、彩響はなにが好きなの?」
ー「え?どうしたの、いきなり。」
ー「言ったじゃん、プライベートな話もしたいって。好きな食べ物はなに?趣味とかある?」
ーもしこの場に成がいたら、そしてこんな合コンみたいな感じになったら…。
(あー駄目だ駄目だ、なんのためにここに来たんだと思うの、私!)
彩響がぱっと顔を上げ、レストランの壁に貼られてあるメニューを確認した。目的は一つ、それは…。
「ここ、お酒とかあります?」
「え?ワインとかあると思いますけど…」
「じゃあ、飲みましょう。ガンガン飲んで仲良くなりましょう、石井さん。」
「え?ああ、良いですけど…」
とりあえず、この心の中のこのもやもや感をなくしたい。彩響は早速ウェイターを呼び、ワインをボトルで頼んだ。グラスに並々になるまで注いで、そのままグラスを高く持ち上げた。
「はーい、では乾杯!」
「あ、乾杯!」
とりあえず、飲もう。いっぱい飲んで、嫌なこと忘れよう。ちょうど相手してくれる人もいるし、どんどん飲むんだ、飲もう…!彩響はストレートでワイングラスをどんどん空けた。
ーそして、お店が閉店になる頃。
(うう…気持ち悪い…。)
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