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掃除編-8章:私の夢、あなたの未来
ドタバタする日々が終わり、少し休むと、また混乱の時期が戻ってくる。季節は肌寒い時期を越え、もう完全な冬に突入しようとしていた。先日は三和さんが家に訪ねてきて、衣替えを手伝ってくれた。
「一通り手入れしましたので、また後日改めて訪問し、片付けます。」
「あ、はい。よろしくお願いします。あの、その…。」
中々言い出せず、玄関の前でぐずぐずしていると、察した三和さんがありがたく先に話を切り出してくれた。
「申し訳ありません、俺も最近は連絡貰えておりませんので。」
「そ、そうですか…。」
「「迷える青春」ていうことにしておきましょう。…では。」
軽く頭を下げ、三和さんが玄関を出ていく。そしてすぐこっちに戻ってきた、今度は何故か三和さんがぐずぐずする。それを見て彩響が聞いた。
「どうされましたか?」
「あの、こんなこというのもなんですが…一応職場の同僚だったので、言っておきます。ああ見えて意外と自分から行動する勇気を出せなかったりするので、その辺は峯野様が理解してあげてください。」
「え?ああ、まあ…はい。」
「…やはり余計なお世話でした。本当に失礼します。」
三和さんはそのまま本当に玄関を本当に出て行った。なんだかその姿が可愛くて、彩響は思わず笑ってしまった。
「…いい人だよね、あの人も。」
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