掃除編-8章:私の夢、あなたの未来

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なにも特別なことは一切ないある日。 お昼を食べる時間も勿体なくて、彩響はパソコンモニターの前でコンビニのサンドイッチをもぐもぐ食べていた。隣で佐藤くんがパックジュースを渡す。 「主任、さすがに飲み物くらいは飲みましょう…。」 「ああーありがとうね。誤字脱字はどうだった?」 「いやーひどかったす。」 「まあ…しっかり見ていこうね。」 そうして最後の一口を口にした時、机の上に置いてあったスマホが鳴った。画面を確認すると知らない番号で、とりあえず緑のボタンを押すと、聞き覚えのない若い女性の声が聞こえた。 ー「こんにちは。峯野彩響様のお電話で間違いないでしょうか?」 「はい、そうですが…。」 ー「あ、はじめまして、私、マルマル出版社の編集担当二宮と申します。」 (「マルマル出版社」?) 初めて聞く名前に、彩響は自分の記憶の中を探る。しかしいくら記憶を遡ってみても、聞き覚えのない名前だった。なら、結論は一つしか無い。彩響は早速ドライな声で返事した。 「すみません、セールスには興味ないので先にお断り致します。」 ー「あ、違います!!セールスではありません。6ヶ月くらい前に、我が社に送ってくださった原稿の件でお話をしたいです。」 「え?原稿、ですか?」 ー「そうです、小説の原稿、送ってくださいましたよね?お知らせするのが遅くなって申し訳ありません。峯野様の原稿を、弊社で出版する件でお話をさせていただきたく…。」 「はい…?私の小説を?」 ー「はい、住まいが東京でしたら、出来れば直接弊社へ一度足を運んでいただければと思いますが…。」
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