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彩響の言葉に理央の動きが一瞬止まる。どうやら図星だったらしい。彩響は彼女の肩を握り、力強く言い続けた。
「今あなたに必要なのはあの浮気相手と戦うことじゃない。あなたに必要なのは、自分自身の状況を認めて、これからどうするかはっきり決めることだよ。だから一緒に掃除しよう。そうすると、心の整理ができる。」
「心の、整理?」
「そう。大丈夫、今行かなくても、あんたの旦那も浮気相手もどこにも逃げない。長年の友情を想って、ここは私に付き合って。お願い。」
彩響の言葉に理央はしばらく黙って、溜め息をつき、結局コートを脱いだ。顔は半分あきらめていたけど、彩響は構わず指示を出し始めた。
「まずは、どう見てもゴミだと分かるものから処分しましょう。この食べ残しのコンビニ弁当とか。」
「いや、まだ食べられる…。」
「お腹壊すから。さあさあ、動いて!早く捨てましょう!」
彩響の指示通り、理央が渋々動き出す。二人でリビングに散らかっていたゴミを集めるだけてすぐ50Lのゴミ袋がパンパンになる。それをまず外に出し、彩響がまた中へ戻ってきた。理央はゴミの量を見てかなりショックを受けた様子だった。
「こんなゴミ溜めていたって、分かってた?」
「ううん、まさかこんな出るとは思わなかったよ…。」
「私もはじめはそうだったよ。ほら、次は水回り確認しましょう。」
予想通り、シンク台の排水口はもう生ゴミでいっぱいで、コバエがぶんぶん音を立てながら飛んでいた。それを見ると、今まで理央が旦那とのことでどれだけ周りが見えてなかったのか、心が痛いほど実感できる。以前ここへ来たときはここまでではなかったのに…。
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