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Mr.Pinkの言葉に、彩響はまたじっくり考える。いや、実は考えるまででもない。Mr. Pinkが何を聞きたいのか、もう既に気づいている。でもすぐには言えない。まだ言葉にするにはなにか怖い。迷う彩響を見て、Mr.Pinkが言った。
「言うんだ、ハニー。勇気を出してくれ。なりたい自分になるんだろう?人生を変えるなら、今がその時だ。」
「私は…私は…。」
目を閉じ、考える。この気持ちは、もうとっくに自分の中で鮮明な形になっていた。認めるのが怖かったけど、不安になったけど…。言われたように、今は勇気を出す瞬間なのだ。彩響は深呼吸をして、ゆっくりと口を開けた。
「…私は、成が好きです。好きだから、側にいて欲しいです。」
その瞬間、後から扉が開く音がした。
音がした方に目を向けて、彩響はそのまま固まってしまった。
「…彩響。」
赤い髪、ライダースジャケット、そしてサッカーのユニフォーム。
そこには成が立っていた。
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