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難しい顔をする成を見て、Mr.Pinkが笑う。そして彩響の手を取り、手の甲にキスをする。二人が目を丸くすると、Mr.Pinkが意味深な笑顔を見せた。
「そうだね、河原塚くんに飽きたらいつでも私の所へおいで。ハニーなら歓迎するよ。」
「なっ…!」
「そして、ハニーはいつまでもハニーなのだ。今更この呼び名を変える気はない。なので、せいぜい頑張ってくれ、河原塚くん。では、又会おう、『彩響』。」
そこまで言って、Mr.Pinkはオフィスを出ていってしまった。しばらくぽかんとしていた成は、頭を振りながら呟いた。
「相変わらず、よく分からない人だよな…。」
「まあ、そうだね。」
「…で、彩響。これからのことだが…。まずは、二人っきりになれる場所に行きたい。」
成の言葉に、彩響が質問する。
「二人っきり?」
「そう、二人っきりになれる場所で、じっくり話がしたい。これからのことを。」
彩響が頷く。そして、提案した。
「うん、じゃあ、うちに来てください。戻って、じっくり話し合いましょう。」
ーこれからの、二人の未来のことを。
成が自分の手を伸ばす。いつか海でみたような、いや、その時より遥かに明るい顔で、彩響をまっすぐ見る。彩響も負けない笑顔で、その手を取った。
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