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その言葉に彩響は足元を見下ろす。そこにはストッキングだけを履いている自分の足が見えた。隣にいた佐藤くんもびっくりして聞いた。
「え?そんな?いつ落としたんすか?」
「わ、分からないよ…。海辺で撮影するとき邪魔だったから脱いで、そこから…。」
もう本当に時間がない。本当に頭の中がパニックになる。急いで靴を買いに行ったとしても絶対遅れる。何も出来ずただ自分の足を見下ろしていると、また彼の声が聞こえた。
「彩響、こっち来て。」
「え?」
また手を引っ張られ、ソファーに座らせる。何をするのかと思うと、彼が自分が履いていたスリッパを脱いで、彩響の足に履かせてくれた。その行動に佐藤くんの目が丸くなるのが見えた。
「え、ええ?な、なにしてるんですか?」
「…?だって、あんた今靴なくて困ってるんだろう?室内だから、スリッパでも誰も気にしないよ。」
「そ、そういう問題じゃ…河原塚さんはどう帰るんですか?!」
「俺はバイクに乗れば問題無い。ほら、早く反対の足も出せよ。」
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