掃除編-2章:バイクの王子様

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彩響自身ももう知っていた。自分の人生が良い方向に進んでいないことを。しかし、もう既にこんなライフサイクルに慣れていて、これからどうすれば良いのかが分からない。自分自身はなにもかもに最善を尽くしているつもりなのに、どんどん体は疲れ、結婚は中止になり…。外から見たら誰もが羨ましがるキャリアウーマンなのに、その中身はボロボロだ。 「何度も言うけど、マジで一回俺と一日大掃除したほうが良いよ。一回掃除すれば、あんたが抱えている大体の問題は解決する。」 「…どんな問題がですか?」 「そりゃ、物忘れも減るし、タクシー代も節約できるし、肌も綺麗になると思う。それ以外なら…自分にどんな問題があるのかは、やっぱり自分が一番詳しくない?」 掃除をすれば、自分の問題が解決する? そもそも、自分の問題はなんだんだ? ずっと頑張って自分の人生を生きてきたはずなのに、今自分は気絶して廃人のように過ごしている。どうにかしたいけど、どうすれば良いのかよく分からない。 (掃除をすれば…自分の問題がなんなのか、それが分かってくるの?) ー本当に? 本当にそうなるの?
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