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先に家について、しばらくするとまた例のあのバイクの音がした。やがて河原塚さんが片手にはヘルメット、片手にはスーツケースを持って玄関へ入って来た。やはり、何度見ても慣れない格好だ。
「ではでは、改めまして、河原塚成です!これからよろしく!あ、俺のことは下の名前でいいからな。」
180は軽く超えていそうな長身。バランスの整った体。レザージャケットにバイクのヘルメットまで、どう見てもこの人が入居家政夫だとは信じがたい…。いや、もう仕事を一度しているし、疑いの余地はないのだけれど。
「えーと、こちらへどうぞ。使う部屋を案内します。」
「そんなかしこまらなくていいって。さっそくお邪魔しますー!」
テンションの高い家政夫さんは彩響の後についてくると、早速目に入るリビングの風景に一瞬足が止まった。また以前のように回復(?)してしまった汚いリビングで、彩響はちょっと恥ずかしくなり、それなりの言い訳を並べた。
「仕事が忙しいので…でいうか、それがあなたを雇った理由でしょ?」
「いや、まあそれはそうだけどな…まあ、とりあえずあの部屋でいいんだな?ちょっと行ってくるよ。」
「あ、じゃあお茶でも用意します。」
河原塚さんが部屋に入っている間、彩響はとりあえずお湯を沸かした。じっと待っていると、ふとムカッとしてくるのを感じる。
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