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河原塚さんの図々しい笑いに、彩響は言いたかった言葉を忘れてしまった。まあ、どうせこいつが今更自分に丁寧な態度取るようには見えないし、お互い楽にするのは悪くないかも…。そう考えた彩響は河原塚、いや成(せい)に言った。
「いいよ、成。じゃあ、これから何をすればいい?」
「おっ、いいねーその調子。」
嬉しそうに笑って、成がどこかを指で指した。その先には…玄関があった。
「そうだな、…家の始まりはまず玄関から。だから、まずは玄関だな。」
「玄関?」
「そう、家に流れ込むいい運気は玄関から入ってくるし、悪い運気は排水口で出て行く。この家は玄関が汚すぎて良い運気が全く入れないんだよな。だからまず、玄関からスタートしようぜ。」
良い運気?悪い運気?なんかの風水論に出てきそうな単語に彩響が首をかしける。ヤンキー家政夫さんの理論なんでしょうが、やはりよく分からない。反応が薄い彩響を見て、成が手を引っ張った。
「まあまあ、まずは体を動かす!やってから考える!」
「え?ええ…?!」
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