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成が奥から引っ張り出したのはクラブケースだった。あ、それは…あえて封印していた悪い記憶がよみがえる。彩響の微妙な変化に気付いた成が様子を探りながら質問した。
「えーと…これ、触っちゃいけないやつだったり?」
「いや、そんなことないよ。…それは元彼の。」
「あ、なるほど。もしかして…この家もあの人と一緒に住む予定だったーとか?」
「最初はね。途中でダメになったけど。」
別れてもう3年も経ったのに、まだこんなもの持っていたなんて。自分自身に呆れてむしろ笑いが出る。クラブケースを見ると、ふと数年前のことを思い出した。
そう、あれは確か、この家に初めて来た日の…
ーー「じゃじゃーん!どう、このマンション?」
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