掃除編-3章:大掃除、スタート!

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「そんな落書き程度の物書きでご飯食っていけると思うの?才能の欠片もないくせに。小説とか芸術とか、そんなのは明日のお米の心配しなくてもいい、そういう連中が気楽にやるものなの。お母さんは今月の家賃が心配でたまらないのに、あんたはそんなバカバカしい夢見てるの?図々しいにも程がある!」 「違います、お母さん、私は…。」 「さっさとそのノート出しなさい!早く!」 母がノートに手を伸ばした。彩響は必死でそれを抱えて、部屋の端っこへ逃げた。どうせ小さい部屋で、逃げ道なんてない。それでもこれだけは守りたかった。彩響は必死でお願いした。 「お母さん、ごめんなさい。二度とこんなことしません。お願い、これは奪わないで、本当いい子にします…!」 「ふざけないで!早くそれ出しなさい。私をもっと怒らせたいの?!」 「二度と作家になりたいとか言いません、勉強もします。バイトもします、だから…!」 そこまで言った時、一瞬目の前が強い衝撃とともに真っ暗になる。床に倒れると同時に、彩響は手に持っていたノートを落としてしまった。視野はすぐ回復したけど、耳に変な音が聞こえる。母はノートを拾い、それを彩響の目の前に広げた。 「やめて…!」
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