掃除編-4章:ヤンキーにも過去はある

9/15
前へ
/164ページ
次へ
「さいきおばさーん!」 「あさみちゃん!」 天気の良い、とても平和な公園で、彩響は両腕を広げ走ってくる女の子を歓迎した。ピンクのリボンで髪を結んだ女の子は、彩響をぎゅっと抱きしめる。 「あさみちゃん、久しぶり!会いたかったよ!もう何歳?」 「あさみはさんちゃい!」 「そうか?早いね?」 「亜沙美、ママは彩響おばさんとおしゃべりしているから、あそこで遊んできて。」 「はーい。」 亜沙美を滑り台のところに行かせて、彩響は理央と一緒にベンチへ座った。あっちこっち走り回る亜沙美を見ながら、彩響が言った。 「早いね、もう亜沙美も3歳か。生まれたのが昨日のことのようなのに。」 「そうね、数年後小学校行ったらまた同じこと言いそう。」 「ランドセルくらい買ってあげるよ。最近はね、ランドセルも私たちの世代と違ってすごいカラフルなんだよね、ピンクとか、紫とか、水色とか…。」 以前どこかの百貨店で売っていたランドセルを思いながら、彩響は楽しく話した。そしてふと、理央の表情が暗いことに気がついた。 「理央?どうしたの、なんかあったの?」 「彩響…私、離婚するかも…。」 「離婚?!」
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加