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「なんだ、聞こえてたのか。まったく、あいつら余計なことべらべらしゃべるから…。」
「結構活躍してたみたいじゃない。」
「いや、運が良かっただけで、大した成果も出してないから、そんな活躍とか言うほどでもないよ。」
いや、ネットで見たのとは違う。やはり、どうしてこの話を隠すのか、気になって仕方ない。彩響はしつこく質問し続けた。
「サッカー、なんでやめたの?」
「いや、だから才能ないからやめたってば。」
「そんなことないでしょう。なんで隠すの?だってあなた、家政夫になるには勿体無い人材だと思うのに。」
「…それ、どういう意味?」
彩響の質問を引き続き笑い流していた彼が、いきなり立ち上がった。なんだか傷ついたような顔を見て、彩響は再び自分がミスをしたことに気がついた。しかし取り消すにはもう遅かった。
「あんたも結局、俺の今の仕事がバカバカしいと思っているのか?」
「そこまで言ってない。ただ、サッカー選手は格好いい職業だと思っただけで…。」
「そうだな、俺は昔も今も中身は一緒で、職業が変わっただけなのに、周りはそうじゃないんだろうな。俺はさ、心からこの仕事が好きだし、本気であんたの役に立つ人になりたいと思っている。なのに、あんたは…!」
なにかを言いそうになって、結局成は口を閉じた。長くため息をついて、彼は視線をそらして言った。
「…ごめん、俺、ちょっと頭に血上ったらしい。ちょっと頭冷やしてくる。」
「え、あの…。」
そう言って成はそのままジャケットを取り、外へ出てしまった。リビングに残された彩響は、ただぽかんとしているだけだった。あまりにも過剰な反応になにも言えなかった。
「…なに、なんなの?」
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