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「え?なに、どうした?!」
「や、やばい、とにかくやばいの!!早くどこかに隠れて!」
「え、俺?隠れる?どこに?」
「どこでも良いから早く!!」
「隠れろって、どこに隠れればいんだよ?」
「と、取り敢えずこっち来て!!」
彩響は成の手を引っ張り、そのまま浴室へ走った。連れて来られた成の唖然とした顔は無視して、彼を浴室の中へ押し込みそのまま扉を閉めた。もちろん、閉める前にきちんと言うのも忘れなかった。
「絶対出てこないで、絶対に!!」
「お、おい…!」
成を閉じ込めた後、リビングへ走るとすぐ誰かが玄関を激しく叩く音がした。成の靴を下駄箱に入れ、息を整える。そして彩響はなにもなかったように玄関を開けた。それと同時に、その前に立っていた人の不満の声が聞こえた。
「一体なにをしていたの?!私は待つのが大嫌いって知っているでしょう?!」
「すみません、お待たせしました…お母さん。」
そこには、なるべく会いたくない、母が立っていた。
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