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成は自分のスマホを出し、何かを検索して見せた。その画面には「無料小説連載」という検索ワードに合わせ、様々なサイトが載っていた。
「俺も人の子供だから、親に認めてもらいたいという気持ちはよく分かる。でももうそれにこだわらなくていいと思う。ありふれた言葉だけど、自分の人生は自分のものだろ?だから、これからなんか始めてみようよ。」
ネットになにか載せるくらい、大したことでは。でもなんだか怖い。この恐れはなんなのか、自分でもよく分からない。でも…。
「…できるかな、私も。」
「できる!」
「なんで、いつもそんなにポジティブになれるの?」
「俺だっていつもポジティブでいるわけじゃないよ。ただ、あんたを励ましたい。それだけ。」
なんでそんなに、自分を励ましたいのか、それまでは聞けず、彩響はただTreasure Noteを見た。ボロボロのその姿は, 30年辛い思いをしてきた自分の姿によく似ていた。
ーでも、この人がいれば、私も又やり直せるかもしれない。心の傷をテープで補修して、もう一回、夢を見ることが出来るかもしれない…。
「やるんだろ、彩響?」
成が手を伸ばす。その大きな手を見るだけで安心する。
そして、今度は自分が勇気を出す番だ。
「…うん、やる。」
その答えに、成は世界で一番大きな笑顔を見せた。
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