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断末魔の叫びが由希の耳の中で響く。耳を塞ぐ間もなく、誰かが炎に包まれて、絶叫を上げる様が浮かんだ。ぶわっと、脂汗が噴出す。映像は、瞬間的なもので終わった。
由希はへなっと座り込む。要が心配して大声を出したが、呆然としてしまって、耳に届かない。そこに、ふと少女が現れた。
彼女は小屋の横にいて、じっと由希を見つめた後、囁くように言った。
『燃やされた。みんな、そう。でも、あの人だけは砕かれた』
すっと、焼却炉に指を向ける。
『アノ人、怖い』
ぽつりと告げると、煙のように消えた。
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