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由希は瞬きをすると、汗を袖で拭った。要の力を借りて立ち上がると、隣で心配する要を無視し、由希は突然走り出した。
かんぬきを抜いて、ドアを開けると小屋の中へ入る。要も後を追った。
由希は一目散に鉄扉を開く。
カマドには灰が詰まっていた。その中に、変形したプラスチックがある。熱でネジくれていたが、元々は長方形の何かのようだった。
だが、由希が釘付けになっていたのは奥の灰だ。それを横目に、要は端に置いてある台を何気なく触った。ざらっとした感触がする。白い粉があるが、埃ではなかった。その中に小さな欠片を見つけた。耳栓のような形の白く、平たく、硬い塊だ。要はひょいと拾い上げてまじまじと見る。
(あれ、これって……)
「要ちゃん。ごめん、ただの直感なんだけど」
由希に呼ばれて、要は振り返る。由希は青白い顔で言った。
「これ、もしかしたら人間の灰かも知れない」
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