学園版 バラの姫と星の王子

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 第七章 「トゥルぺとローゼ」  トゥルぺ・ブルーメはこの学校に通う学生の中で最年長の19歳で、ローゼの姉だ。背中までの長い髪に切れ長の目、白い肌を持つ美女なのだが自分のことしか考えていないため、他人から嫌われている。  消灯(しょうとう)後の夜10時。彼女は自室のタンスから濃い緑のコートと黒のハイソックスを出して着替えると、妹の部屋に向かった。手に持っているのは白い布とロープ、そして長剣。  ローゼは静かに寝息を立てていた。トゥルぺは妹の顔を見つめる。二年前に他国へ行ってしまった母親と同じ水色の目に、ワインレッドの髪。明るく優しいので、どんな人にも声をかけられていた。彼女の姿を見るのが嫌で早く離れたいと思った。  自分の手が震えていることに気づき、「(何をやっているの!)」と心の中で怒る。彼女の相棒である大きなカラスが、じっと(あるじ)を見つめていた。
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