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「おじさん、どうしちゃったのかなぁ? 」
「さあ? でもおじさんにも事情があるから仕方ないよ」
私は毎日、彼の姿を公園の中で探している。
何も知らない娘も、ただ純粋に彼と遊びたくて彼を気にしている。
娘に言いながら、自分自身にも言い聞かせる。
心が荒んで、声まで震える。
「あ! おじさんだー! 」
「え! ? 」
娘の声に視線だけでなく、心も弾む。
……居た。
彼を視界に捉え、鼓動が煩い。
小さな手と繋いでいる手に無意識に力がこもり、汗が滲み出る。
「お久しぶりですね」
久方ぶりに見れた愛しい微笑み、わたあめのように甘くてとろけてしまいそうな愛しい声が鼓膜を刺激する……。
「ぉ、お久しぶりです」
声は上擦り、しかも震えている。
彼を見ていたいのに、目があうと心が押し潰されそうで、彼を見つめていられなくて思わず俯いてしまう。
ダメ……
会えたことが嬉しくて泣いてしまいそう……。
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