彼とチューベローズに溺れて

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「そういえば、もうすぐ夏休みだね」 首から掛けたタオルで額を拭う仕草がとんでもなく色っぽい。 ……彼の身体付きが華奢で肌が白すぎるせい? 娘と話している彼が堪らなく愛しい……。 まるで彼から媚薬のような甘い香りでもしているのでは? と錯覚すら感じる。 ねぇ、私を見て……。 見つめられるとクラクラしちゃうけど。 私にも語りかけてよ……。 甘い声に鼓膜を伝って脳まで蕩けてしまいそうだけど。 ねぇ、お願い…… ぎゅっと抱きしめて? 違う! 娘をじゃなくて私を抱きしめて! 喉まで出かかっているが、声に出せるはずもなく、一人立ち尽くす。
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